ソーシャルセクターが志向するべき成果とは何か。
そもそも、この変化が激しく課題が複雑化する時代で、何が成果と言えるのか。

VUCA(ブーカ)ワールドと言われる、
Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、
Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の時代に生きている私たち。

その中にいるからこそ、私たちは経験や学びを通して「何を」成長させるべきなのか、
という問いは非常に難しいものです。

たとえば、広報・情報発信のスキルを身につけたい、ファシリテーションを磨きたい、
などなど。いろいろありますね。

今回は、「何を」成長させるべきかについて、観点を整理してみました。

発想の元となった資料は、こちらです。
人生100年時代の社会人基礎力について」(経済産業省産業人材政策室)

資料は人生100年時代において、「社会人基礎力」の重要性がますます高まっているという内容でした。
かなり以前から継続している研究会のようなのですが、
新たな視点として「何を学ぶか」というものがあり、
その中に「OS」と「アプリ」という表現がありました。

なるほど、とうなずくとともに、GRASSでもディスカッションを深めてみたところ、
具体的にはこんな観点として整理されるのではないかと気づきました。

OS:思考のパラダイム・価値観
スペック:仕事における基礎力・応用力
アプリケーション:アウトプットに直結する技術

以下、各点について、ソーシャルセクターでの現状を念頭に置きながら考えてみました。

 

OS:思考のパラダイム・価値観

明文化されているものとしては、ビジョン、ミッション、クレド、経営理念など。
明文化されていないものとして、企業文化、思考の癖、暗黙の了解・判断基準など。
OSを成長させるということには、「OSアップデート」と「異なるOSへの移行」
の2つのパターンがあるように感じています。

アップデートとは、団体のビジョンへの理解・共感を深めて自分のものにしていったり、
自分自身の価値観を見つめ直して先入観・思い込みを弱めたり、といったことです。
アップデートがうまくいかないと、外部環境の変化・進化についていけない、
自分の考え方に固執して頭が硬いと見られる、といった弊害がありそうです。

異なるOSへの移行とは、ビジネスセクターとソーシャルセクターに移行する際に
うまく思考を切り替えたり、異なる価値観を融合させて新たな共有ビジョンを形成したり、
といったことです。

移行がうまくいかないと、転職やプロボノ活動の際にミスマッチが発生する、
協働事業でステークホルダーの相互理解が築かれない、といった事態が起きそうです。

みなさんは、自分にどんなOSを搭載していますか?
また、どんなOSの組織に所属し、どんなOSの他者と接していますか?

自分自身をより洗練させていくためのアップデートは怠らないようにしたいですし、
OSが異なる他者と協働する時にはその「ちがい」に注意深くならないと、
近いようでぜんぜん遠い場合がありますね。

 

スペック:仕事における基礎力・応用力

まず基礎力として、参考にした経産省の資料では、
課題発見力、計画力、傾聴力、柔軟性、ストレスコントロール力、主体性、実行力など
が挙げられています。

以前にGRASSの勉強会でも扱った書籍「キャリアデザイン入門[I]基礎力編」(大久保幸夫)でも、
キャリアの基礎力として「対人能力」「対自己能力」「対課題能力」という観点で整理されていました。
仕事のアウトプットに直結するというよりは、そのプロセスに影響を与える力だと思います。
応用力としては、システム思考やコンセプチュアルスキルなど、より上位の概念を共有化する能力をイメージしています。
目の前の事象だけではなく、俯瞰した視点で思考することを可能にします。

スペックは、大切だということは理解できるものの、
改めて成長させようとするとどんなトレーニングをすれば良いかわかりくいかもしれませんね。
OSと合わせて、主に「経験」を積極的に取りに行き、
習慣的な「ふり返り」を丁寧にすることで、高めていくものだと思います。

 

アプリケーション:アウトプットに直結する技術

アウトプットに直結する技術や知識として、OSやスペックよりも
「学ぶ」「身につける」ことがわかりやすいのがアプリケーションです。
研修やセミナーでも扱われることが多いと思います。
たとえば、Web情報発信、企画書づくり、財務・会計、法務、書くスキル、話すスキル、ビジネスマナー、などなど。

アプリケーションがあっても「なぜやるのか」「どのように進めるのか」と噛み合っていないとうまくいきません。
比較してわかりにくいOSやスペックを成長させる努力を怠ると、
技術や知識はあるのになぜか成果が出ない、という状況に陥りそうです。

 

自分(もしくは組織)という器を成長させる・鍛えるためには、
OS(思考のパラダイム・価値観)はアップデート(実質は刷新/包括/多様化など)で、
スペック(仕事における基礎力・応用力)はトレーニングで、
アプリケーション(アウトプットに直結する技術)はインプットで
それぞれ成長させていかなければいけません。

その中でもOSを変容させる、ということが一番難しくて、
場合によってはアンインストールが必要になりそうです。

でもその必要性に自分で気付くのは難しい。
自分や組織の性質を「固定的なもの」と捉えずに、
常に変化が求められていることを感じながら、
アップデートの時期にちゃんとそれに気が付けるようにしておきたいですね。

読んでくださっているみなさんは、いかがでしょうか。

もし「もっと成長したい・学びたい」「いまの自分では物足りない」
「なんだかズレている気がする・うまくいかない」と感じているとしたら、
いま「何を」成長させるのが必要な状態でしょうか。

バランスよく、効果的な自己投資を心がけたいですね。