「キャリアをデザインする」ってどういうことなのか、
私たち自身が改めて学ぼう!と、連続開催している本勉強会。
書籍からの学び + 参加者同士のディスカッションによる学びの分かち合い
で、毎回議論を深めています。これが結構面白い!

12月18日(月)に実施した第3回からは「キャリアの節目」をテーマとして、
働くひとのためのキャリア・デザイン』金井壽宏著, 2002年, PHP新書
の内容をシェア。

この本からの学びをベースに、今回も議論を深めました。
今回から、参加できなかった方にも学びの内容がわかるように、詳細な記録を報告します!

【書籍からの学び】
まずは本の内容についてレジュメをもとに共有。
(*レジュメは下記↓からダウンロードできます。)
GRASS勉強会(3)レジュメ1218用

最初に筆者の基本的な主張を確認した上で、第1章と第2章を読み進めました。

本書における筆者の基本的な主張(レジュメより抜粋)

・何十年も先のことは不確実でデザインできないからこそ、数年に1回くらい訪れる節目だけはデザインしたい

・節目さえデザインし、不確実ななかにも方向感覚を持っていれば、節目と節目の間は多少流されてもよい。
(そうすることで、掘り出し物(セレンディピティ)もたくさんあるかもしれない)

・キャリアについて毎日自問するのも調子が悪いが、節目に来てもキャリアの問題をうっとおしいで済ませていてはらちがあかない。

・その認識は正しいが、それを時代背景だけのせいにすべきではない。どんな時代であれ、自分の人生は自分で切り開くという前向きな姿勢が、キャリア・デザインの根っこにあるべきと考える。

・せめて節目だと感じるときだけは、キャリアの問題を真剣に考えてデザインするようにしたい。
その思考を助けるツールを提供するのが本書の目的。

 

書籍の内容で、特に参加者からの関心が高かったのは、
「バウンダリーレス・キャリア」と「トランジション論」

「バウンダリーレス・キャリア」の典型モデル

・ シリコンバレーの創造的な起業家、ハイテク産業のエンジニア。他一般に開発エンジニア、建築家、コンピューターコンサルタント等。特定の映画会社にはとらわれない映画産業のプロデューサーも。

・「組織的」より「創造的」な職種の人たち。

・ 産業・企業・職能専門分野の境界を越えて活躍する。

・ SOHOの進展等により、仕事と家庭の境界も薄れてゆくキャリアが登場。

つまりは・・・職能を持っている人たちが業界を超えて働ける状態。
今の言葉で言うと「ボーダレス」「フリーランス」。
組織への信頼性が落ちたことも、このキャリアが生まれた経緯にあるのではないか。

 

さらに、話は2章に書かれている「2つのトランジション論」
(以下、レジュメより引用)

トランジションとは

・日常語では「転機」、生涯発達の心理学では「移行」ないしは「移行期」と訳される。

・生涯発達論・キャリア論におけるライフサイクルの視点:
人生やキャリアは「安定期(流されてドリフト状態でも大丈夫な時期)」と「移行期(しばしば危機でもある節目)」の繰り返しである。

・たとえで言えば、「岐路」に差し掛かった地点・時点、クロスロード(四つ辻)。

 

2つのトランジション論の1つは
「ブリッジズのモデル」

 

・多くの人は「開始」ばかりを意識。いったい何が終わったのかという「終焉」や、
終焉から開始への移行における「中立圏」を不問にしがち。
・個人だけでなく、組織にもトランジションがある

 

もう1つは「ニコルソンのモデル」

一周まわったらまた次のサイクルが始まる。
「一周する度に発達しているかどうか、より自分らしく生きられているようになっているかが鍵」

 

という2つのモデルについて解説。
その後はレジュメ発表者からの気づきを共有し、参加者とのやりとりへ。

 

【気づきの共有】

本書において、「安定化」から「準備」への(再)移行は基本的に企業における異動を例に紹介されているが、
ソーシャルセクターでは組織内での(思いもよらない)異動はあまりないのでは。
一周まわって次のステップに行くためには、
自ら意識的に別の段階に進む選択をしてゆく必要がある
ことを示唆しているのではないか。

ソーシャルセクターの場合、異動は少ない。
一方、プロジェクト単位で関わることが多いので、
そういう新しい分野で新しい経験を積んでいく「移行」はあるんじゃない?

本書では、異動や転属というよりも、
如何に「一皮剥ける」というサイクルをするか
について細かく説明されていた。
「前のクールのサイクルよりもジャンプアップしているのか」
仕事上のアイデンティティが一皮剥けたか、が重要。

 

【ディスカッション】
後半は、下記の3点についてディスカッションを深めました。
ここではやりとりの主な部分をご紹介します。

(1)節目を自ら演出するためには
(2)良き節目を過ごすためには(内省の質/外部からのサポート)
(3)適切なドリフト(漂流・のめり込み)に必要なこととは

 

■ソーシャルセクターでのキャリアの課題ってなんだろう?

内部での研修などの機会がない、職層の階層が水平的で、節目と感じられない、など。
節目を自ら演出する必要があるよね。
新卒で入ったとしても、内省を促せていないこと多い。
自分で節目を演出しないと、そのままどこにつながるのかわからないドリフトになっちゃう。

自分の場合はGRASS等でつながった人にフィードバックをもらえる機会があった。
でもそういう場がなくて、就職したNPOにずっといる、という人も多いと思う。
そうだったら、自分のキャリアの節目についてしっかり考える機会はなかったかも。

気づきを得られる(外部)環境に身を置く、ということと、
そこでの気づきを自分のアクションにつなげられるか、
という2つのポイントがある。
それぞれの時に必要なマインドってなんだろう?
外部とのネットワークに所属している、だけで満足してしまう人も多い。
アクションにつなげるためには、その人の何に響くといいのだろう。

自己イメージに近いチャンスがあるかどうか?

自分の場合は、ぴんとくる、直感みたいなものが働くかどうか。
自己イメージが明確ではないけど、感覚としてわかるかどうか。直感重視。

自己イメージするために感覚を鋭くする、そのためにすべきことは何だろうね?

本を読むことでは?
本を読むことは、他者の見解をトレースし、ダイブすること。
感性のサンプルを増やすことでもある。引き出しを増やすこと。

もう1つは、普段、緊張感のある場数をふんでいるか。
何が正解か何がミステイクかが問われる場。
そういう場数を踏むことで、何がその時々に必要なのか、という感覚が研ぎ澄まされていくのだと思う。

「言語化」アウトプットすることも必要だよね。

感覚を研ぎ澄ます、ためには、
・(読書等で)サンプルに触れる機会を増やす
・緊張感のある場に行く
・アウトプットする
ことが重要なんじゃないかな。

 

■「よき節目を過ごしたな」というのはどういう時?
ちゃんと内省し、納得感のあるキャリア転換をできた、という時。

自分の場合は後付けの節目多い。「今が節目だ」って思ってなかった。

節目を自ら演出するために、自分自身で「仮節目」を1年に1回くらいつくるようにしている。
それまでの仕事を棚卸して、それぞれの仕事でどんな経験して、どんな能力ついたか、を考える。
その結果、節目であることに気づいたり、安定期であることに気づく。
それしないと見失なっちゃう。

節目には、外的要因による節目と、自分で作る節目の2つがあると思う。

外的要因の節目:例えば結婚のタイミング、新しい仕事がたくさん入ってきた、など。
それぞれのタイミングで、どんな姿勢で向かうか、外部からどういうサポートを得るか。

自分による仮節目:自分でそれまでの仕事や自分の能力棚卸して、つくる節目。

自分による節目を、ある程度のスパンでちゃんとやっていく、内省していく、ということが重要だよね。

(勉強会でのやりとりは以上)

 

第3回勉強会は参加者数は少なかったですが、「キャリアの節目」をどうつくるか、
どう過ごすかについての議論ができ、今回も面白い場となりました。

第4回、第5回は下記の予定で実施します。関心を持たれた方はぜひご参加ください!

詳細はこちら:http://npo-grass.net/info/studyinfo/

第4回:1月26日(金)19:30-21:30
『働くひとのためのキャリア・デザイン』第3章
キャリアをデザインする

第5回:2月9日(金)19:30-21:30
『働くひとのためのキャリア・デザイン』第4章~6章
節目ごとの生涯キャリア発達課題