「キャリアをデザインする」ってどういうことなのか、
まずは私たち自身が改めて学ぼう!と、連続開催している本勉強会。

書籍からの学び + 参加者同士のディスカッションによる学びの分かち合いを行っています。

2018年1月26日(金)実施の第4回は、前回に引き続き
『働くひとのためのキャリア・デザイン』金井壽宏著, 2002年, PHP新書
を取り上げました。

 

 

 

 

 

 

 

今回は「第3章 キャリアをデザインするという発想」について。

本の中では、
・そもそも、キャリアをデザインするとはどういうことなのか、
・デザインするだけでなく「ドリフト(漂流)」することも大事だというが
 それとただ流されることの違いは何なのか、
といったことについて書かれていました。

それを元に、ディスカッションでは、
・では、「よいドリフト」とはどのような状態か?
・「有効な相互依存」や「よいネットワーク」とはどういったものか?

といった点から、話が盛り上がってゆきました。

▼当日のレジュメ
GRASS勉強会(4)レジュメ180126用

 

【書籍からの主な学び】

・キャリア・ドリフトのパワー(P.114)
「いいものに出会い、偶然を活かすには、むしろすべてをデザインしきらない方がいい」
「節目以外はドリフトすべき」

・キャリア・デザインのパワー(p.116)
「とはいえ、自然な流れに任せっぱなしにはできない。」
「おおまかでもいいから、まずは方向感覚は絶対に不可欠。」

・キャリアの定義
所説あるが(※レジュメの中で抜粋して紹介)、本書における定義としては下記(p.141)

成人になってフルタイムで働き始めて以降、生活ないし人生(life)全体を基盤にして繰り広げられる長期的な(通常は何十年にも及ぶ)仕事生活における具体的な職務・職種・職能での諸経験の連続と、(大きな)節目での選択が生み出していく回顧的意味づけ(とりわけ、一見すると連続性が低い経験と経験の間の意味付けや統合)と、将来構想・展望のパターン。

 

・キャリアのデザインとドリフトの関係性
それぞれが、表裏一体の関係性にあると著者は説いています。

(p.150-151の内容を元に作成した図表)

 

・「レファレント・パーソン」の重要性
キャリアを歩む上で「お世話になる人」がいる、ということは、キャリアデザインの研究上も
指摘されており、「レファレント・パーソン(準拠者)」と呼ばれているそう。

そのレファレント・パーソンにも複数の機能があり、本書では3つ挙げられていました。

1.準拠者(レファレント、自分のキャリアを決定づけるうえで参考になった人、として勉強会中では理解)
2.経歴上の先生(いわゆる上司や、学校における先生という存在など)
3.スポンサー(資金的に応援してくれる人)

そして「ネットワーク」に関しては、今後検証の必要がある、としながらもこのような記述も…

「ドリフトの促進要因が対人ネットワークであるとするならば、ネットワークがキャリア・デザインを導くよりも、キャリア・デザインがネットワークを築いていくようにするべきであろう。」(p.165)

 

【議論内容】

書籍からの学びを受けて、下記の点について特に議論しました。

 

●よりよい「ドリフト」とは?

・キャリアデザインにおいて、「デザイン」することだけでなく「ドリフト」することの重要性はわかった。しかし、それって具体的にはどういうことか。

・(よいドリフトをしたな、という感覚のあった参加者)あの時は、大まかにでも「自分はこうなりたい」という方向感は確かにあった。それを元に参加したコミュニティで活動する中で、自分でも予想はしていなかったが、新たな出会いがあり、それが次の仕事につながった。

・ドリフトする場合も、その前段階できちんと自己決定することは必要。その精度の粗さはともかくとして。

・ドリフトしながらも、偶発性を排除しないことも大事。「ジョハリの窓」(※)をなるべく開けていく。特に、他人は知っいてて自分は知らない「盲点の窓」、また「未知の窓」を開けておいて、異なる価値観に積極的に触れるということは、ドリフトの期間には特に大事だと思う。

(※ジョハリの窓:自分には、「公開されている自己(開放の窓)」・「隠されている自己(秘密の窓)」と共に、「自分は知らないが他人は知っている自己(盲点の窓)」・「誰にも知られていない自己(未知の窓)」もあることを示した考え方。)

 

●有効な相互依存とは?

・誰とでもつながっていればよい、ということではない。
お互い様の関係性、お互いに報酬を与え会うことができる互酬的な関係性が、1つの重要な要素では。

・フリーライドの割合が強いとよくない。

 

●よいネットワークとは

・よいドリフトは何か、という話とも重なるが、やはりこれについても自分自身がある程度の方向感をもった上でつながったネットワークで、そこから何か得よう・影響を受けようとする姿勢があることが大事。
そうでないと、ただ集まって飲む…みたいなコミュニティになってしまう。

・ドリフト中に、何かスキルアップをしたくて入ったコミュニティは、結果的にその後のキャリアにも影響を与えるよいネットワークになっている気がする。

・GRASSのセミナーや勉強会を通じてつくる緩やかなコミュニティも、このキャリア・デザイン論におけるよいネットワークとして機能すればよい。それを目指してゆきたい。

・こうしたネットワークを、いかに意図的に作ってゆくか、ということも組織や社会に求められていると思う。

 

●その他

・前提として、本人の「自己成長意欲」を高める「筋トレ」のようなものは必要かもしれない。そもそも本人が成長したい、もっと頑張りたいと思わないと、自己決定も良質なドリフトもあり得ない。

・その意味では、特に社会経験の少ない学生に、「自分のやりたいこと・できること・やらねばならないことを書き出してみよ」と言っても、ピンとこない人の方が多い。
自分探しの旅を永遠に続けるよりも、とりあえず就職して働いてみる・やってみる、というのも、キャリア・デザイン論にのっとった有効な処方箋なのかもしれない。

(開催報告は以上)

 

次回、第5回の勉強会では、
『働くひとのためのキャリア・デザイン』第4章~6章
「節目ごとの生涯キャリア発達課題」をテーマに共有・議論します。

第5回:2月9日(金)19:30-21:30
詳細はこちら:http://npo-grass.net/info/studyinfo/

(文責:今井)